BoysLove’s blog

BL元年2019年、初心者のブログです。読後の感想を書いていますので、ネタバレです。できれば作品を読んだ後にどうぞ。

”幸福男子(ラッキーくん)”:高口里純

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幸運男子(1) (高口組 BL系)

幸運男子(1) (高口組 BL系)

 
幸運男子(2) (高口組 BL系)

幸運男子(2) (高口組 BL系)

 

 

BLなんて、これまで読んだことないと思っていたけれど、「もしかしたら、あの時読んだあれは実はBLはこちらだったのでは?」と思い至り、改めてkindleでダウンロードして読んでみました。

(便利な時代になったものです。本屋に注文などしなくったって、Kindleで一瞬でダウンロードできてしまうんですから)

 

やはり、正真正銘のBLでした。

 

連載当時にちらっと立ち読みしたような記憶があったのですが、その当時は「カッコいい男のコのお話」ぐらいで深く考えず流してしまいました。

時代は1990年代のはじめであり、まだBLというジャンルもはっきり確立されていなかったのではないかと思います。

むしろ「やおい」とか言われていた頃?

 

はっきりとセックスしているシーンもなく、ストーリーは

男(しかも義理の兄弟)に惹かれてしまったけど、どうしよう?

どうしたらいい?

どうなっちゃうの?

という葛藤が主であり、1990年の連載当時にはいわゆるセックスにまでは至っていません。

実際にセックスが描かれたのはかなり時間を置いて、1999年あたりに描かれた番外編の3巻以降です。

 

1990年当時は、インターネットがまだ普及していませんでしたので、ゲイが具体的にどういうセックスをするのかをリサーチすることも、ままならなかったことでしょう。

私自身、当時はアパレル業界にいましたし、ナイトクラブにも通っていたためゲイの知り合いはかなりいましたが、どういったセックスをしているのかまでは知りませんでした。

(何となくアナルセックス?ぐらいのぼんやりした知識のみ)

 

思えばインターネット普及以降、作家さんのリサーチ力も大幅に上がったはずで、作画においても、人物の作り込みにおいても、マンガの描かれ方は格段にリアリティーが増した気がします。

 

高口里純といえば、”花のあすか組!”にハマって以来、その後のマンガはしばらくの間ほとんど読んでいました。

絵柄が好きで、この方の描く男性がとにかくカッコいいのです。

基本、皆同じ顔です。

つり目の、どちらかといえば馬面。

実写にするなら、若い頃の長瀬智也みたいな。

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特に、”ロンタイBaby”の二神堂 緋郎(ニガミドウ ヒロウ)なんて、連載当時惚れ惚れしてました。

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ヒロウ、すごぶる男前です。

あと、”EX-MEN訊いて”のマーメイドとか。

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マーメイド、売れっ子モデル。性格わるし。でも絶世の美男。究極の美男子はやっぱり長髪。

BLの定石として、

無表情で心を閉ざした美少年」の心を「社交的でモテるノンケの男(つまり、普通に男として魅力がある)」が何故か惚れ込んでしまい→口説き落とす。→そしてセックスする。

というのがあると思いますが、この作品ではその過程がとても上手く描かれています。

 

この作品では、社交的でモテているノンケの男、”斑(むら)”が、無表情で心を閉ざした美少年、”すばる”になんとなくキスしてしまったことをキッカケに惹かれていき、斑がすばるを口説く形で進んでいきます。

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ファーストキス、そもそもの始まり。

高校生の男同士が、「なんとなく」「身長差がちょうどいいから」「その場のノリで」キスなんか、しないでしょう。普通は。

けど、お互いの容姿が美しいことが「オトコ同士でキモ(ち悪い)!」というハードルを超えさせちゃうのでしょうか。

 

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 キスしてしまったことに葛藤する斑ですが、割と早い時点で気持ちを切り替え、自分の気持ちや衝動に戸惑いながらも、すばるをどんどん攻めていきます。

 

一方、すばるはもともとゲイだったようです。

一応最初の頃は女の子と付き合ってはいますが、それほど思い入れがあったようには見えません。

むしろ、言い寄られてなんとなく付き合ってしまっていたようで、斑との関係が始まると、あっさりと女の子の方はやめてしまっています。

 

BLの最大の難関は、ハッピーエンドに持っていきずらいことで、ハッピーなBLカップルの日常は、今日では”昨日何食べた?”などで描かれていますが、これは LGBTQの認知度が社会的にこの20年でかなり高まったからこそ、なのでしょう。

 

そして、この作品の最後は最悪です。

なんと、やっと大学受験を終えて一緒に住める?というところで、すばるが交通事故で死んでしまい、数年後の斑が大人になって孤独に生きているというところで終わります。

 

正直、「連載当時読んでなくてよかった〜」と思いました。

これはトラウマになるでしょう。

今でも、2巻のこの最後の部分は読みたくないです。

落としすぎじゃないでしょうか。

連載当時のファンはさぞかし辛かったことでしょう。

 

そんな罪滅ぼしとでもいうのか、1999年に3巻に当たる部分の番外編を発表されています。

時間軸を少し戻して、斑とすばるが実際に結ばれるまでのエピソードが描かれています。

ファンとしては、一番オイシイ部分をやっと貰えたといったところだったのでしょう。

 

唯一不満なのは、10年近くが経過するうちに、作者の絵柄が微妙に変化してしまったことです。

大抵の作家さんは、ある時点まで作画の能力はどんどん向上していきます。

高口里純さんの場合、1990年代はじめのあたりがピークだったのではないでしょうか。

3巻での絵柄は、かつての「ゾクゾクするような」いい男の表情ではなくなってしまっているんですよね。

「絵が老ける」とでもいうのでしょうか。

こればかりは、どうしようもないことなのでしょうが。

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幸運男子(3) (高口組 BL系)

幸運男子(3) (高口組 BL系)

 

 

とはいえ、やはり二人が結ばれるところはグッときます。

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一番グッときてしまったページ。キスがやらしくなってます。

 

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そして遂に。。。そうです、これが見たかったんです!

それにしても、この作品が書かれた頃はまだBLという言葉はなかったですし、さらに「腐女子」という言葉もありませんでした。

しかし、斑の彼女の「ヒナちゃん」はいわゆる腐女子なんですよね。

斑とすばるのツーショットに萌えるあたりや、色々なリアクションが腐女子そのもの。

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斑とすばるのBL的関係に萌えるヒナちゃん。なぜ斑のようなモテ男がヒナちゃんと付き合っているのはは謎。

ヒナちゃんはヤキモチを焼くどころか、二人の関係を応援すらしています。

そのせいか、女性キャラとしてヒナちゃんはあまりジャマじゃないですね。

 

そして、BLといえばツンデレ。

<一番グッときたシーン>

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コレですよ、コレコレ。「好きだぜ。」に対して思いっきりテレるすばる。

それにしても、何でBLって何度も読み返してしまうんでしょうか。

中毒性高いです。