”リカー&シガレット”:座裏屋蘭丸
リカー&シガレット (バーズコミックス リンクスコレクション)
- 作者: 座裏屋蘭丸
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2018/05/24
- メディア: コミック
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日高ショーコ、ヨネダコウをあらかた読み終えてしまい、さて、お次は?となってから、色々検索し、試し読みなどしてみましたが、なかなか食指が動くような作品がありません。
もしや、日高ショーコ&ヨネダコウっていうのは、かなりハードルの高いスタートだったのかも。。。と青ざめる日々が続きました。
どうやら私自身の好みは、絵柄のクオリティーの高さは必須のようです。
なんか、絵柄が好みじゃなかったり、デッサンが狂っていると一気に萎えるんですよね。
そこで目に留まったのが座裏屋蘭丸さんの絵。
これってマンガっていうよりも一流のイラストとって良いのでは、というぐらい作画力が高い作家さんがたまにいますが、座裏屋蘭丸さんもなんかそういう匂いがします。
評価も高いようです。
これは、試す価値ありでしょう、とポチっと。
で、結論から言うと、大当たりでした。
私がBLマンガに求める要素がバッチリ含まれており、と言うか、それをはるかに超えた作品です。
まず、どのページもそのまま額縁に入れて飾りたいほど美しい。
「カラーの表紙だけめちゃくちゃ頑張っていて、本編はさほどでも」って言うマンガが結構あるのですが、この方のマンガは表紙と同じ(あるいはそれ以上の)クオリティーの作画が全編で繰り広げられています。
ああー、マンガというのは、本当に優れた媒体だとつくづく思います。
絵柄を楽しむビジュアリスティックなアートの部分と、文字を読み解く小説的なコンテンツの融合。
私は、他のどの媒体よりもマンガが抜きん出て好きです。
映画は面白いけど、自分のペースで進められないんですよね。
2時間とか3時間、集中を強いられるというか。
小説も夢中にさせるほど面白いものはありますが、マンガよりも取っつきにくいというのでしょうか。
マンガは絵でビジュアル的に一瞬で引き込まれますからね。
「よーし、読むぞ!」っていう決意みたいなものがいらないんですよね。
この作品は、ああ、マンガというものがこの世に存在してくれていて本当によかった!と思えるような、至福のマンガ体験をさせてくれました。
イタリアと思われる景色はひたすら美しく、まるで実在している小さな街を自分が旅行しているかのように、リアルに描き出されています。
カラーの表紙、巻頭のカラーページの色の取り合わせは、もはやアートといって良いほどセンス良いです。
そして、何と言ってもカミロです。
カミロに口説かれるテオの回想が、カミロの男としての魅力を表現しています。
「首も太いし」
「以外に筋肉質で胸板厚いし…」
でも、それだけじゃないですよ。
こんなターザン見ないなカラダのくせに、顔は妙に甘ーいんです。
目つきはトローンと潤んで優しげ。
そして、実際に優しい。
ノンケのテオをすこーしづつ、それこそ用心深く大事に大事に陥落していくのですが、実に我慢強いんです。
本当はさっさとヤッちまいたいだろーに、テオがその気になってくれるまで、あの手この手で男の快楽に目覚めさせていきます。
色っぽい目つきをさらに引き立てる緩やかなウェーブのロン毛ってのも、絶妙ですし、さらにカミロの身につけている右手人差し指の指輪と左手の時計も、小憎いほどにカミロの魅力を引き立てています。
ところで、これほど魅力の溢れに溢れたカミロは、なぜテオが好きなんでしょうかね。
どうやらかなり長い間片思いしているようです。
赤ちゃんの頃からの付き合いですから、子供の頃に何か刷り込まれたんでしょうか。
とにかく、テオはラッキーなヤツです。
そして、この作品の脇役もなかなかいい味出してます。
私のお気に入りはディエゴ(ノンケ)とマリノ(ゲイ、ネコ)です。
この二人でスピンオフとか、美味しそうです。
付き合い始めて以降のカミロとテオのショートストーリー(描き下ろし!)の”Love”が収録されていますが、これはまた大サービスというのか。
付き合い始めてさらに情熱的になるカミロがたまりません。
イタリア男の恋愛への情熱って、有名ですもんね。
私もイタリア人の知り合いは何人かおりましたが、魅力のある女性に彼氏がいないとわかっていれば、とりあえずさらっと口説き文句を挨拶に入れてきます。
「Chiao, bella!」(英語で言えば、Hello, beautiful!って感じでしょうか。日本語ではこいうカジュアルに女性を褒めるような表現がないですね)
に始まって、なんつーか、艶っぽい言葉を会話に散りばめてくるんですよね。
付き合い始めると、結構ベッタリとするようです。
ただ、相手のいる女性には一線はちゃんと引いていることが多いようです。
私も、彼氏と別れたら急に周りのイタリア人男性の態度が艶っぽくなったという経験があります。
余談になりましたが、この最後の”Love”で「ジョグストラップ」の使い方を始めて知りました。
私、90年代にハウスミュージックが大好きで、当時NYのゲイクラブに足繁く通っていたのですが、このジョグストラップをつけているゲイが多かったんですよ。
まあ、おケツを出してエッチでありつつも、蒸れない、履きやすいっていう機能性を兼ね備えたデザインだから人気なのかしら?と思っていましたが、こういう用途があったんですねぇ〜。
知りませんでした。
”無邪気なわんこと猫かぶり”:にやま
日高ショーコとヨネダコウをあらかた読みつくしてしまったので、新規開拓が必要になりました。
アマゾンをいろいろ検索してみたところ、にやまさんの作品が気になりました。
表紙の絵柄がキレイだったことと、評価が高かったので、購入してみました。
一応、試し読みも数ページできました。
んー、どうかな、と思いましたが、まあ、読んでみようかと。
うーん。
あまり好きじゃなかった。。。
なんか、絵柄の好みっていうのが自分にとって絶対的な要素なんだと改めて気づかされました。
表紙のカラーの絵はいい感じなんですよね。オシャレだし。
でも、実際の内容の絵柄が先ず好みではなく、登場人物の性格も共感できず。。。
それだけに、その二人がセックスしても、あまり興味が持てず。。。。
BL以外のマンガであれば、多少絵が好みじゃなくても、話が面白ければ読むんですけどね。
BLって、マンガに恋愛するようなものなのかもしれません。
好きじゃないと盛り上がらないし、セックスもできない。
私、面食いってことでしょうか。
次回からは絵柄にこだわって探そうと思います。
”囀る鳥は羽ばたかない”①〜⑥:ヨネダコウ
囀る鳥は羽ばたかない(6) (H&C Comics ihr HertZシリーズ)
- 作者: ヨネダコウ
- 出版社/メーカー: 大洋図書
- 発売日: 2019/05/01
- メディア: コミック
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囀る鳥は羽ばたかない(5) (H&C Comics ihr HertZシリーズ)
- 作者: ヨネダコウ
- 出版社/メーカー: 大洋図書
- 発売日: 2017/11/30
- メディア: コミック
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囀る鳥は羽ばたかない 4 初回限定小冊子付 (H&C Comics ihr HertZシリーズ)
- 作者: ヨネダコウ
- 出版社/メーカー: 大洋図書
- 発売日: 2016/09/30
- メディア: コミック
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囀る鳥は羽ばたかない(3) (H&C Comics ihr HertZシリーズ)
- 作者: ヨネダコウ
- 出版社/メーカー: 大洋図書
- 発売日: 2015/06/01
- メディア: コミック
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囀る鳥は羽ばたかない 2 (H&C Comics ihr HertZシリーズ)
- 作者: ヨネダコウ
- 出版社/メーカー: 大洋図書
- 発売日: 2013/11/01
- メディア: コミック
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そして、やっちゃいました。
ヨネダコウの長編&未完作品に手を出してしまいました。
せめて、完結していて欲しかった。。。
これで、首を長〜くして新刊を待つ、と言うあの苦行をしなければいけなくなりました。
人気作家になると、締め切りとかに融通が利くようになるのでしょうかね。
もう次巻が今年中に発売されることはまずないでしょうし、これだけの大作となると来年中も怪しいほどです。
”憂鬱な朝”でもそうでしたが、作家さんが成長し、大作を書くようになると、読む方も気軽に楽しむことはできなくなりますよね。
もはや、1冊を20分ほどで読み上げて、「ふー、楽しかった」と言うようなわけにはいきません。
ストーリーも込み入っていますので、登場人物の顔と名前をしっかり覚えつつ、内容をしっかり把握しながら読み進めなければなりません。
ヤクザモノですから、組同士の争いや、各登場人物の勢力争い、それぞれの思惑なんかも理解しつつ、と。
ヤクザの中堅どころの幹部(若頭だそうです)、矢代(幼少期の義理の父親からの性的虐待によりドM、美貌)に、百目鬼(読み方:どうめき、元警察官)が惚れる話。
最初は矢代が影山(矢代の思い人、高校時代の同級生)に美少年チンピラの久我をあてがうところから始まります。
影山と久我の恋路に結構なページ数を割いているので、この後も影山と久我が主要な登場人物として話が進むかと思いきや、違うんですよね。
2巻以降は矢代と百目鬼の話。
影山は医者なので治療のたびに登場しますが、久我は存在感が薄いです。
久我の人物としての魅力を考えると、もっとでてきても良いと思うのですが、後々大きな役割を担うんでしょうかね。
矢代はあれです、”NightS”の間崎の進化版ですね。
間崎をさらに淫乱(と言うか、変態)にして、屈折させたような。
間崎は職業は麻薬取締捜査官でマトモでしたが、矢代はヤクザですから。
まずあり得ないと思いますが、仮に実写化するとしたら、矢代を演じられる俳優ってちょっと居なさそうです。
(アニメ映画化されるそうですが、どこで公開されるんでしょうか。普通の映画館では先ず放映できなそうですが。)
矢代は淫乱で変態ですが、下品ではなく、むしろある種の品格さえあります。
軽さを装っていますが、実は頭も相当良く、こういった人物の魅力を書き出すヨネダコウさんの力量は、さすがと言うしかありません。
矢代を生み出してくれて、ありがとう!
そして、作中でも結局のところみんなが矢代に惚れてるんですよね。
そして、お相手役の百目鬼はこれがまた、BLの相手方として究極のキャラクターかもしれません。
まず、カラダがいい。
190センチ以上あるそうです。
こんなの見せられたら、ムラっときますよ。
しかも、ブリーフ履きも見せつつ。
百目鬼、気が利かない朴訥な性格のはずなのに、何気にかなり大胆に誘ってます。
口下手ですからね。
「俺の凄いカラダ、先ずみろ!」
ってなもんです。
(異性愛同士の)女性が男性の目の前で素っ裸になるようなもんですからね。
矢代はここで完全に欲情したと見ます。
(まー、それまでもずっと百目鬼とやりたかったんですけどね)
そして、このあとの5巻のセックスシーンは圧巻です。
深く深く傷ついてしまった矢代の心をこじ開けるのは、こういったセックスだ、というのが実にリアルに絶妙に表現されています。
これまでは、どんな乱れた姿を見られてもぜーんぜん恥ずかしくなかった矢代が、ここで初めて恥じらいと戸惑いを見せます。
そして、百目鬼のあまりにも真っ当で愛のあるセックスによって、矢代の心の扉が開かれてしまうのですが、ここの描写も見事です。
「ああ」
「どうして今」
気付いちゃったんでしょうね。
本当は凄く痛かったってことに。
痛みを痛みとして受け入れず快楽にすることで、脇へ逸らして自分を保ってきたわけですから。
5巻の大部分がこの二人の初めてのセックスに割かれていますが、この物語の大きな山場であり、BLヨネダコウファンとしては、待ちに待ったシーンをこんなにタップリと描かれて、至福と言ったところでしょうか。
でも、この長ーいセックスシーンは、もはやエロではないような気がします。
むしろ、愛のあるセックス(言葉にすると陳腐ですが)とは一体どういうことなのかを描き出しているとでも言えばいいのでしょうか。
「キモチよさそう♡」と言った類のセックスでは決ありません。もはや。
6巻では矢代は百目鬼を拒否します。
「こいつを受け入れたら」
「俺は俺という人間を手放さなきゃならない」
それですよね。
自分が成り立たなくなっちゃうんですよね。
さて、6巻まで読んでしまいました。
これから「待ち」という長ーい苦行が始まります。
”花は咲くか”①〜⑤:日高ショーコ
花は咲くか (1) (バーズコミックス ルチルコレクション)
- 作者: 日高ショーコ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2013/08/01
- メディア: Kindle版
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花は咲くか (2) (バーズコミックス ルチルコレクション)
- 作者: 日高ショーコ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2013/08/01
- メディア: Kindle版
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花は咲くか (3) (バーズコミックス ルチルコレクション)
- 作者: 日高ショーコ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2013/08/01
- メディア: Kindle版
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花は咲くか (4) (バーズコミックス ルチルコレクション)
- 作者: 日高ショーコ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2014/07/31
- メディア: Kindle版
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花は咲くか (5) 特装版 (バーズコミックス ルチルコレクション)
- 作者: 日高ショーコ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2015/04/03
- メディア: Kindle版
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日高ショーコ作品長編第二弾。
年の差モノということで、あまり食指が動かなかったのですが、ここまで日高ショーコ作品を読んでいましたので、今更読まないわけには行きません。
で、ポチッと。
”憂鬱な朝”に比べると、軽めのストーリーです。
内容が薄いっていうわけではなく、普通の恋愛ものなので、登場人物や状況をいちいちしっかり理解する努力をすることなく、ある意味気持ちよーく読み進めることができます。
桜井(38歳、社会人)と蓉一(19歳、美大生)の恋の話。
桜井はこれまでに男と付き合った経験なし。
蓉一は恋愛経験自体が全くなし。
19歳の年の差、男同士、ノンケ(桜井の方)、というハードルを全て越えての恋愛モノです。
まず19歳の年の差って、スゴいですよね。
作中に何度か桜井自身がこの年齢差を自問しますが、せめて相手が社会人じゃないと、本当に何を話すやらってなりますわね。
さらに、BLではおなじみの、片方はノンケで、そこを乗り越えるというハードルもありますが、そこは蓉一の美貌が越えてさせてしまいます。
BLでは繰り返し出てくる、「本来はストレート(ノンケ)だけど、コイツがあまりにもカワイイから好きになっちゃったよ」っていう宗旨替えですが、現実の世界ではほぼあり得ないことのようです。
BLを読み始めて、この設定があまりにも多いので、ゲイの友人に聞いてみましたが、「それは、ないでしょ」
とアッサリ返されました。
相手がゲイであるかは、ほぼ100%の確率で一目でわかるそうです。
で、ゲイ以外は最初の時点でそう言った対象からは外すと。
BLではその辺があまりにも違和感なくほぼ毎回登場するので、刷り込まれすぎないように注意が必要かもしれません。
まあ、マンガですから、楽しめれば良いんですけどね。
そこをあまり疑問視すると、BL自体が成り立たなくなってしまいますし。
恋はいつの間にか始まっていて、それに気づいて自分でも愕然とするという瞬間がありますが、桜井が蓉一に惹かれていることに気づいた瞬間のシーンが好きです。
自分でも驚くんですよね。
そして、急に相手がそれまでよりも一層可愛く(あるいはカッコよく)見えてしまうという。
「痘痕(アバタ)も靨(エクボ)」っていう状態に切り替わっちゃうんですよね。
あの、「好き好きフィルター」みたいなのって、どういう仕組みなんでしょうか。
脳で何かの物質が分泌されるんでしょうかね。
出会った時は何とも思ってなかったり、むしろ、コイツとはないでしょ、なんて思っていても、「好き好きフィルター」がかかると、もう世界一カワイイ(カッコイイ)ように見えちゃうっていう。
一方の蓉一ですが、非常に美しいです。
日高作品一番の美しさかもしれません。
”憂鬱な朝”の桂木にちょっと似てます。
日高さん、この手の黒髪で顎の尖った美少年を描くのが上手です。
蓉一の方はおそらく元来ゲイなのでしょう。
最初から桜井が好きだったようです。
ただ、幼い頃に両親を奇妙な状態で失くしていることから、ちょっと性格的に変わったところがあります。
自分の感情を殆ど顔に出しませんし、周りとのコミュニケーションも殆どありません。
所謂コミュ障です。
蓉一、顔が美しかったから良かったものの、この性格で容姿が美しくなかったら、かなり頂けない人物です。
美貌はその辺りの性格的な問題を相殺してしまうんですねー。
自分からに閉じこもってしまい、感情もうまく表現できない蓉一には、桜井のように大人で落ち着いた相手が必要なのかもしれません。
桜井はやや枯れたような印象がいあり、普段は落ち着いた印象ですが、相手の合意が得られれば積極的です。
蓉一が好意を見せると、ガッツリとキスして押し倒したり。
お互いの気持ちを確かめてからは、きちんと色々(ローションとかコンドームとかでしょうか)購入して準備してますし。
セックスも段階を踏んで着実に進めていきます。
オトナです。
恋愛は実は年をとってからの方が良いことが多い、と私自身は思います。
色々経験があるから、何かとスムーズに進むんですよね。
「え、コレってどうなの?どうすればいいの?」っていうのがあまりないから、戸惑わずに楽しめるというか。
自分の気持ちも、若い頃よりもうまく説明できたりしますし。
しかし、この作品も本当に長期連載だったんですね。
2006年8月に開始して、最後が2015年1月。
9年越し?
日高さん、そして雑誌の連載を読んでいたファンの皆様、お疲れ様でした。
この作品の脇役も好きです。
特に、吉富さんと菖太。
菖太は何気に桜井と蓉一のキューピット的な役割を果たしていますし、頭が良くてこまっしゃくれているけど、やっぱりまだコドモっていうところも可愛いです。
吉富さんは、何気にこの作品での隠れたいい男ですよね。
最後に園子さんと付き合うことになり、遅い春が来たという感じですが、付き合ったり結婚したりするなら、実は吉富さんのようなタイプが一番良いかもしれません。
顔は怖いし、男前ではないですが、人情家で料理上手。
日高ショーコさん、やっぱりいいですね。
いつものように、何度も何度も繰り返し読んでしまいました。
”憂鬱な朝”⑧:日高ショーコ
遂に最終巻です。
8巻を読み進める前に、もう一度1〜7巻をおさらいしました。
最後をきちんと味わい尽くしたいですからね。
1日かけて1〜7巻を読み返し、一呼吸置いて頭を整理し、お茶を淹れ、トイレを済ませてから8巻を読み始めました。
未読の名作マンガを読む時って、本当に至福です。
特に、こういった素晴らしい作品の最終巻を読むときは、それこそドアに鍵をかけ、携帯電話もサイレントにして、誰にも邪魔されたくないですね。
4巻の暁人のボロ屋(って言うほどボロではないのですが、華族様からするとボロってことで)でのセックス以降、桂木の態度は柔らかくなり、一層美しさを増しましたね。
冷たく拒絶する態度が魅力的で、愛を受け入れてしまったらある意味腑抜けてしまうのではと心配しましたが、そこは杞憂でした。
日高ショーコさん、桂木を美しく保ってくださって有難う。
ところどころに見せるツンデレ桂木の本音がいじらしいです。
でもって、暁人が2年間のイギリス留学の朝、見送りにいかずにベットに残るこの桂木の表情とか。
日高さん、本当に桂木というキャラを楽しんで描かれていますよね。きっと。
大作でしたが、撒かれた伏線は見事に回収されて、お見事でした。
何よりハッピーエンドで良かったです。
7巻から8巻の発売まで、かなり時間が空いたようですが、ファンはもう、ヤキモキしたでしょうね。
「愛し合っているけど、一緒にはなれない。。。」
ていう悲哀な終わり方もあり得たでしょうし。
もー、お腹イッパイです。
”憂鬱な朝”②〜⑦:日高ショーコ
”憂鬱な朝”の2巻から7巻まで。
表紙絵のトーンが段々と明るくなっていきます。
この辺に、二人の関係性の変化が表現されています。
非常にストーリーの細部まで練られており、本当に読む方も体力がいります。
適当に読んでいると、話の筋がわからなくなってしまうので、何度か読み返してみたり。
もはや、BLの大河ドラマといっていいでしょう。
生まれつき恵まれた環境で、愛されて素直に育った暁人が太陽のような存在だとすると、桂木は冷たく光る月のようで、陰と陽の見事な対比です。
それにしても、桂木、最初の頃よりも何故だか若返ってます。
まあ、まだ29歳なので、二人の出会いの当初が老けすぎていたのかもしれません。
ところで、話の中で一つ気になったのですが、桂木は暁人の祖父の息子ってことですよね?
つまり、自分の父親の腹違いの弟とかですよね。
それって、叔父?当たるのでは???
なんか、血縁としては割と近いような気がするのですが、いいんでしょうか。
BLらしく、随所にセックスもありますが、家を出てボロ屋で自活する暁人を訪ねた桂木が、自らの意思でセックスするシーンが好きです。
これまでは暁人にイヤイヤ手篭めにされている家臣といった態度でしたが、ここから心を開いて愛し合うようになります。
桂木って、普段がピシッと隙がないからか、セックスで乱れた時がミョーに色っぽいんですよね。
桂木の乱れた前髪から覗き込む目つきがたまらないです。
あと、フンドシも。(明治時代ですから❤︎)
1巻から7巻まで一気に読みましたが、内容が濃すぎてちょっと頭が痛くなってきました。
最終巻に入る前におさらいします。
”憂鬱な朝”①:日高ショーコ
さて、ちょっとヨネダコウで道草してしまいましたが、やはり日高ショーコさんの残りの作品がとても気になります。
残るは”憂鬱な朝”(全8巻)と、”花は咲くか”(全5巻)です。
うーむ。
幸いどちらも完結してますが、恐らく途中で止めることはできませんから、1巻を読み始めたが最後、全巻購入することになるはずですので、ちょっと躊躇します。
が、もはや止められません。
表紙の絵柄で、”花は咲くか”は「中年オジさんと美少年の年の差恋愛」という趣で、いまひとつ食指が湧きませんので、「華族様の上流階級での禁断の…」と言ったストーリーが予想される”憂鬱な朝”を選択しました。
ちょっと長いですが。
覚悟してまずは第1巻をポチっと。(ゴクリ)
思った通り、かなり読み応えがあります。
もはやBLを超えてしまっています。
思うに、どのようなジャンルであっても、ある程度以上のレベルになってしまうと、もうそのジャンルで収まりきらなくなりますよね。
「”ベルサイユのばら”は少女マンガを超えた」とかね。
日高ショーコさん、油がノりにノっているというのでしょうか。
商業的にも安定した地位を確立したのか、描きたいものを、描きたい長さで、自由に描ける位置にまで辿り着いた感じですね。
久世家の直系後継の暁人が家令の桂木に、家督を引き継ぐための教育を受ける話。
暁人は成長するにつれ、桂木に恋心を抱くようになります。
所謂BL的なアクションが取られるのは、1巻の最後の方になってから。
それまでは、主人公の幼少期や二人の出会いなど、ジックリと話が進められていきます。
これだけ待たせてもファンはちゃんとついてくる、という自信があるからこそ、こんなに時間をかけてストーリーを進められるのでしょう。
そのおかげでストーリーは非常に深みのあるものになっています。
しかし、明治時代の華族階級だなんて、なんとBL向きな舞台なのでしょうか。
スーツをビシッと着こなした、容姿端麗&長身の桂木の美しいこと。
10歳の暁人は、桂木との最初の対面で、もう完全に持ってかれてます。
すりこみ完了、てなもんです。
BLマンガの魅力は、キャラクターの魅力であり、読者を魅了するメインキャラクターというのが現れますが、この作品では桂木がそれに当たります。
もう一人の主人公である暁人の視点を通して桂木を見つめながら、桂木の美しさを読者が堪能していく、というのでしょうかね。
最初は単純に非の打ち所のない人物である桂木を、恐れつつも尊敬していた暁人ですが、桂木の西園寺(男)との愛人関係を見たことで、桂木が男もイケることを知ります。
さらに嘉世子様との情事で乱れた服装の桂木を見てしまったことで、暁人は初めて欲情したと思われます。
やがて身体的に成長した暁人は、かなり強引に「命令」と称して桂木をねじ伏せてセックスしますが、暁人、虚しいんですよね〜。
だって、桂木にマジ惚れですから、カラダさえ手に入れればいいっていうもんじゃないわけです。
桂木はこの辺りではヤレヤレ、ウチの坊ちゃんはしょーがねー。とばかりに、イヤイヤ付き合っています。
「閉じた桂木の心を暁人が開いていく」のが大筋なのですが、大作ですから、いろんな伏線が張られており、二人が何故、どのように関係性を築いていくかが丁寧に描かれています。
物凄くしっかり作られているだけに、気軽に楽しむBLではなく、読みこなすのに結構体力がいります。
大河ドラマを見るような心構えです。
作者さんも最後まで持っていくの10年ほどの時間をかけたようですが、そうでしょうね。
10年で8巻。つまり1年以上次の巻を待たなければならない時があったわけで、ファンとしてはもう、辛抱辛抱ですよ。
”ガラスの仮面”ほどではありませんが、さぞかし痺れを切らしたことでしょう。
(余談ですが、ガラスの仮面、作者さんの生きているうちに何とか描き上げていただきたいものです。)
ああ、(作品を知った時点で)完結していてよかった、と心から思います。
第1巻は「暁人が一方的に桂木を好気になり手篭めにする」というのが大筋で、長ーい物語の序章でした。
ふう、次の巻に読み進める前に、もう一回おさらいしないと話についていけません。